お世話になっております。弁理士の佐藤です。
弊所では、PatentMapEXZやPatBaseなど各種の特許分析ツールを導入しており、クライアント企業様のご希望に沿って様々な角度から特許などの分析をすることができる体制を整えていますが、企業の知財部の皆様にとって付加価値の高い分析ができるよう日々研鑽をしています。今回はその一例として、弊所で開発しました「特許分類バブルマップ」を紹介します。
このマップは、分析をしたい競合企業などの特許出願のグループに付与された国際特許分類(IPC)や共通特許分類特許分類(CPC)を独自のアルゴリズムにより集計しマップ化することで、出願の多い技術分野のバブルを大きく表示した下図のようなマップを作成し、特許ポートフォリオの確認などをすることができるようにしています。
本分析サンプルは、一例として「トヨタ自動車」社の最近の特許出願(約3万件)について分析を行い、IPCの付与状況から「トヨタ自動車」社がどのような技術について出願をしているか俯瞰的に見ることができます。
例えば、バブルが大きく、複数重なっているところがコア技術であり、太赤字で示した「電気自動車」や「電池」が注力分野であることは新聞などで報じられている内容とも一致しており納得感があるかと思います。また、右下の赤字の「成膜」は特許の内容を確認すると電池の材質の成膜に関する発明であることがわかりました。同図に示すようにそれらのラベルを関連のあるように工夫することで関連性も示すことができます。
本マップでは、図中の同一セクション(バブル色が同じ)においては、原則として、技術の関連性によってバブルの距離を決め(技術的に近いほどマップ上で近く)、付与数が多いほどマップ上で中央に寄るようにしつつ、付与数が少ないほど外側に位置するようにバブルのXY座標上の位置を決めてマップ化しています。これにより出願件数の多いコア技術や、少ない周辺技術を分かりやすく配置したマップとすることができました。
なお、本マップでの分析手法と別の分析サンプルについて、下記のブログ記事でもう少し細かく解説していますので、よろしければ確認ください。
PatBaseとエクセルで簡易特許分析-第3回「Apple Inc.」 | patent & marketing (patent-and-marketing.com)
昨今、知財活用が進んでいる先進企業においては、知財情報を経営に活用する「IPランドスケープ」と呼ばれる活動が盛んになってきており、経営層への特許情報の提供が求められ始めています。また、コーポレートガバナンスコードと呼ばれる企業経営の管理監督に関する指針が改定されたことで、知財部門以外の特許に関する知識の無い人にも分かりやすく特許情報を開示する要求も強くなってきています。これらの要求に対しても、本マップによれば、技術をわかりやすく俯瞰的に示すことができるため、最適な分析結果の提供ができると考えています。
また、このマップでは、特許ポートフォリオを俯瞰的に見るだけでなく、一部を拡大して下図のように詳細に確認することもできます。
このように本マップの作成ツールは、上述したとおり特許情報を目的に応じた様々な尺度で分析し示すことができますが、マイクロソフトのエクセルで作成していることで以下のような様々な分析機能も備えています。
≪分析機能≫
本マップの作成ツールは、継続的な特許出願のご依頼をいただける企業様や、顧問契約などの形で弊所が継続的にサポートさせていただく企業様といった継続的なお取引のある企業様には無償でご利用頂けるよう提供することを考えています。また、上述の通り本ツールはエクセルベースで作成していますので、専用のソフトを導入して頂く必要は無く、新たなソフトの操作を覚える必要もありませんので簡単に使って頂くことができます。
なお、スポットでの分析のご依頼やツールだけの提供についても対応可能ですのでお問い合わせください。
なお、このマップの作成ツールについては知財活用の参考例として、分析手法に関して特許出願を、「特許分類バブルマップ」の名称については商標登録出願を、それぞれ弊所で行っております。特許出願のご依頼をご検討されている企業様につきましては、特許出願のサンプルとして本件の出願明細書の提供も可能です。